明治・大正・昭和を生きた日本人絵付師の生涯

美術、陶器、戦争、NY渡米、渡欧。明治・大正・昭和を生きた夫の曽祖父の自叙伝。大変興味深い内容でしたのでブログにしました。

2022-08-05から1日間の記事一覧

第十五章 若竹寮 名古屋陸軍造兵廠専属宿舎(1)

支那事変は昭和十二年七月七日廬溝橋に端を発しその後益々戦場が拡大した。 戦場の拡大に伴い軍需工場の大拡張が行なわれ産業戦士も大動員された。 名古屋陸軍造兵廠でも青少年工員の大量募集で数千人を集めたが其の収容宿舎の用意が無く困っているとの事で…

第十四章 中京玩具商会(5)

注文を受けると同時に借金も亦増えてくる。一枚の約束手形は二枚となり三枚となり、その結果取引きを初めて一年たつか、たゝない内に名古屋銀行からは再三の注意を受け遂には不渡り手形で取引き停止となって遂に我商会も断末魔の運命に近づきつゝあった。 け…

第十四章 中京玩具商会(4)

一方他の業者は我々が注文を多く取っている事を知ってからというものは彼等の常として其の意匠や形状を模倣し低価格で粗悪な物を作り各商舘の仕入れ部に食い込み或は我々の見本を内職者より入手して其の儘注文を受ける等あらゆる手段をもって我々を妨害し又…